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『命を縮めてしまう?介護施設の負の現実』のお詫び

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第二十三回

 ただし、前回の一番の問題点はおそらくそこではない。

 なにより「施設に入れると命を縮める」という、Aさんのおばさんの偏見と言葉。このフレーズを強調しすぎて、まるで正しい意見であるかのように受け止められかねない表現になってしまったこと。

 もっとも反省し、お詫びするべきはここだ。読み返すと、その言葉を利用して、介護施設への不信感を匂わせたかのように読めてしまう部分もある。これはまずい。

 介護施設において、認知症患者に対してはどのような薬剤の処方がなされているのか。

 暴力傾向のある入所者に対して鎮静薬を用いることは、どのくらい日常的なのか、あるいはどのくらいレアケースなのか。

 そしてその副作用と思われる症状で、元気をなくしてしまう人はどのくらい存在するのか。

 本来であれば、こうしたデータや実例に基づいて書くべきだったと反省している。しかし、このテーマは大きすぎて、一個人の手に負える領域ではないというのも正直なところだ。

 前回の内容に対しては、多くの批判をいただいた一方、「私も自分の家族で同じような経験をした」という声がいくつか届いている。

 介護施設に入った後、薬を処方されて別人のように無気力になってしまった人の話や、名目上は医師が処方していることになっている実際は介護士の要望でほぼ決まっていると教えてくれた現場職員の声もある。

 しかしこれらがどの程度の頻度で起こっていることなのか、介護関連本や資料にあたっても、ほぼ記載がなく、なかなか実情のさわりすら把握できない。

 これについては、できれば介護現場の人たちの生の声を聞いてみたい。薬剤の使用の現状、施設内のガイドラインや、うまくいった例、うまくいかなかった例の対応などを語って欲しいと思っている。

(前回の『命を縮めてしまう?介護施設の負の現実』は、タイトルと一部箇所を8月9日に修正いたしました。修正後のタイトルは『薬の処方、精神科に入院…介護施設の現実は。』)

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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